耳鳴りや難聴は、いずれも聴覚に異常をきたす疾患ですが、耳鳴りは現実には存在しない音を感じ、聴覚を妨害する病証で、難聴は聴力の減退あるいは消失を言います。
耳鳴りと難聴の関係は深く、難聴の前兆として耳鳴りが起こることもあれば、同時に出現することもあります。
現代医学でいう「神経性耳鳴り」「難聴」「メニエール」「神経衰弱」「中耳炎」は、中医学の観点からも説明する事が出来ます。
ただし、先天性の難聴、外傷による耳鳴り・難聴、他の慢性疾患の随伴症状として現れる耳鳴り・難聴は今回お伝えする内容の対象からは外れます。
耳鳴り・難聴の４つの原因
中医学から診た時の、耳鳴り・難聴の代表的な原因は４つあります。
①ストレス・イライラ（肝鬱化火）
②暴飲暴食・運動不調（痰火鬱結）
③胃腸機能の低下（脾胃虚弱）
④加齢（腎精不足）
耳鳴りはこれらの原因が単独で起きる事もありますが、複数の原因が組み合わさって起こる事もあります。
耳鳴り・難聴の病因病機
耳鳴り・難聴のタイプ
①ストレス・イライラタイプ（肝火上炎）
ストレスは気の流れを滞らせ、その滞りが熱化し耳を巡る経絡に侵入すると、耳鳴りや難聴になります。
- 「キーン」という高めの音がする
- 耳の張り感や痛み、頭痛やめまいもある
- 目の充血、喉の渇き、口の中の苦味がある
- イライラしやすく、イライラで耳鳴りや難聴が強くなる
改善方法
原因がストレスからきている為、趣味を満喫したり呼吸法や運動を取り入れて、ストレスを流す事が大切です。
また、アロマオイルがお好きな方は柑橘系の香りを嗅ぐとストレス解消に繋がります。
おすすめのツボ
1.行間
足の親指と人差し指の付け根に取ります。
顔や頭に熱感を取る効果があります。
2.丘墟
足の外くるぶしの斜め下前部分に取ります。
3.耳周りのツボ
耳の穴の前には、「耳鳴り帯」と呼ばれる３つのツボがあります。
耳の穴のすぐ前、指で押すと何となく凹む所です。ここには耳門・聴宮・聴会という３つのツボがあります。
②暴飲暴食・運動不足タイプ（痰火鬱結）
脂っこいものや味の濃いもの、甘いものやアルコールを過度に摂ると、体内の水分が滞り、「痰」が生じます。
その痰が熱化して耳を塞ぐと、耳鳴り・難聴が起こります。
- 両耳にヒューヒューと重く濁った音がする。
- 突発的に耳が聞こえなくなる
- 頭や体の重だるさも感じる
- 痰が多い
- 便もスッキリ出ない
改善方法
食生活を改善させて、運動などをして体を動かすようにしてみてください。
適度な運動をして汗をかく事で、体の余計な水分を出す事が出来ます。
おすすめの食材：キャベツ、大根、たまねぎ、とうがん、白菜、きのこ類、あずき、納豆、しそ、昆布、海苔、烏龍茶、プーアル茶など
おすすめのツボ
1.内庭
足の第二指と第三指の付け根の間に取ります。
胃の熱を取る効果があります。
2.豊隆
膝の下と外くるぶしのちょうど真ん中に取ります。
体内の余計な水分を取る効果があります。
3.耳周りのツボ
耳の穴の前には、「耳鳴り帯」と呼ばれる３つのツボがあります。
耳の穴のすぐ前、指で押すと何となく凹む所です。ここには耳門・聴宮・聴会という３つのツボがあります。
③胃腸虚弱・運動不足タイプ
生物や冷たいものの食べ過ぎ、運動不足などにより胃腸の代謝機能が低下し、気血の不足が起きている状態です。
気血が不足し、耳を栄養出来なくなり、耳鳴り・難聴が起こります。
- 疲労で悪化し、休むと症状が軽減する
- かがんだり起き上がったりすると症状が強くなる
- 耳に空虚感や冷えを感じることがある
- 倦怠感、食欲不振、食後にお腹の張りが出る
改善方法
暴飲暴食・冷たいもの、油こいもの・甘いもの・味の濃いものの摂り過ぎに気を付けてください。
また、疲れてしまうくらい働いたり動き過ぎたりするのも禁物です。
日中は疲れない適度の運動をし、夕方以降は体をゆっくり休めてあげましょう
おすすめのツボ
1.足三里
膝のお皿の下から、指４本分下（人差し指〜小指）下の、スネの骨の外側に取ります。
胃の不調を改善してくれるツボです。
2.豊隆
膝の下と外くるぶしのちょうど真ん中に取ります。
体内の余計な水分を取る効果があります。
3.耳周りのツボ
耳の穴の前には、「耳鳴り帯」と呼ばれる３つのツボがあります。
耳の穴のすぐ前、指で押すと何となく凹む所です。ここには耳門・聴宮・聴会という３つのツボがあります。
④加齢・房事過多・病後タイプ（腎精不足）
腎の精気が不足し、頭部に栄養がいかなくなり耳鳴り・難聴が現れてきます。
- セミの鳴くような低い音の耳鳴り
- 夜間に悪化する
- めまいがしたり、物が良く見えなかったりする
- 腰や膝の重だるさがある
改善方法
- 腰回りを温め、冷やさないようにする。
- 過度な房事は避ける。
- 睡眠をしっかり取り、無理のない程度に身体を動かす。などがおすすめです。
おすすめの食材：しょうが、にんにく、やまいも、さといも、くるみ、黒豆、黒米、栗、羊肉など
おすすめのツボ
1.太渓
足の内くるぶしとアキレス腱の間の真ん中に取ります。
腎の力を強めてくれる効果があります。
3.復溜
太渓から指３本分（人差し指〜薬指）上に取ります。
身体の陰を補ってくれる効果があります。
3.耳周りのツボ
耳の穴の前には、「耳鳴り帯」と呼ばれる３つのツボがあります。
耳の穴のすぐ前、指で押すと何となく凹む所です。ここには耳門・聴宮・聴会という３つのツボがあります。
最後に
如何でしたでしょうか。
耳鳴り・難聴は色々な原因によって起こりますすが、臨床上は神経性のものが多く診られます。
他にも風邪を引いた時に発熱によって現れる耳鳴り・難聴もあります。
これらは、熱が引くと自然と消失する事が多いです。
現代医学の神経性の耳鳴り、難聴、メニエール、中耳炎などのによるものは、中医学の考え方を参考にされてみてください。
