子宮筋腫とは、主に子宮に出来る良性の腫瘍です。子宮の筋肉から発生し、ホルモンの影響によって大きくなり、張った感じや痛み、膨満感や出血を伴う事もあります。
子宮筋腫は、命にかかわるものはありませんが、30歳以上の女性の30%にみられる腫瘍で、婦人科の腫瘍ではもっとも多いといわれています。
中医学から診た子宮筋腫(癥瘕)
子宮筋腫の事を、中医学では癥瘕(ちょうか)と呼びます。
特に中医婦人科では、子宮筋腫以外にも子宮内膜症・骨盤内炎症性腫瘤・卵巣囊腫などのお腹周りに出来るしこり全般も含んで呼びます。
癥(ちょう):硬く、移動性のない痛みのある塊
瘕(か):触っても形が明らかではなく、痛みの部位が不特定な塊
癥瘕の形成は、臨床上「気」「血」「水」の中のどれかが滞ったものと考えられています。
その中のどれがが滞ったのか、なぜ滞ったのを確認する事で、中医学でも改善が出来ます。
子宮筋腫の原因
癥瘕の原因は大きく分けて3つあります。
- ストレス(気滞)
- 血行障害(瘀血)
- 水液代謝障害(痰湿)
この3つが様々な理由で形成される事で、癥瘕が出来ると考えられています。
癥瘕の分類
①ストレスタイプ(気滞)
ストレスにより気の流れが滞り、下腹部でしこりが形成されて起きる子宮筋腫です。
- 下腹部に膨満感がある
- 塊は硬くない
- 押すと動く
- 痛みの部位はその時によって変わる
- ストレスで痛みや大きさが悪化する
- 生理痛がある
など
改善方法
趣味を満喫したり呼吸法や運動を取り入れて、まずはストレスを流す事が大切です。
また、アロマオイルがお好きな方は柑橘系の香りを嗅ぐとストレス解消に繋がります。
おすすめのツボ
1.間使
手首と肘の間にあり、掌側にあります。
手首のシワの真ん中から、指4本分の所に取ります。
どちらも、自分の指で気持ち良いと感じる程度の力で押してみてください。
2.気海
おへそから指2本(人差し指と中指)下に取ります。
気の流れを調整し、下腹部の血流を良くします。
痛みを感じる事もあるので、強く押し過ぎないように注意が必要です。
3.関元
おへそから指2本(人差し指〜小指)下に取ります。
4.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
血の流れを調整する働きがあります。
5.太衝
足の甲にあり、第一指と第二指が交わる所の凹みに取ります。
気の滞りを流す働きがあります。
②血行障害タイプ(瘀血)
冷えや流産、難産などによって、下腹部に血の滞り(瘀血)が出来る事でしこりや痛みが生じます。
- 刺すようなズキズキとした痛み
- 痛む場所は決まっている
- 夜間に痛みが強くなる
- 生理血が多く、暗い紫色で血の塊が混じる
など
改善方法
お風呂やカイロなどで下腹部を中心に身体を温めるようにしてください。
また、運動などをして血の流れをスムーズにさせる事も大切です。
おすすめのツボ
1.帰来
おへそと恥骨結合の間を5等分し、恥骨から上に5分の1の所から指3本(人差し指〜薬指)分外側に取ります。
生理痛を和らげる効果があります。
2.血海
膝の皿の上の内側から、指3本分(人差し指〜薬指)上がった所に取ります。
血の流れを調整してくれます。
3.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
血の流れを調整する働きがあります。
⑤水分代謝障害(痰湿)
味の濃いものやアルコールの過剰摂取などが原因で体内に水分が滞り「湿」が生まれ、それが下腹部に溜まる事でしこりが生じます。
- 押すと柔らかい塊がある
- 白いオリモノがたくさん出る
- 生理血の色は暗く、ネバネバしている
- 吐き気もある
改善方法
食生活を改善させて、運動などをして体を動かすようにしてみてください。
適度な運動をして汗をかく事で、体の余計な水分を出す事が出来ます。
おすすめの食材:キャベツ、大根、たまねぎ、とうがん、白菜、きのこ類、あずき、納豆、しそ、昆布、海苔、烏龍茶、プーアル茶など
おすすめのツボ
1.中脘
お腹のみぞおちとおへそのちょうど真ん中に取ります。
胃腸の状態を整えて、水分の代謝を改善してくれるツボです。
2.帰来
おへそと恥骨結合の間を5等分し、恥骨から上に5分の1の所から指3本(人差し指〜薬指)分外側に取ります。
生理痛を和らげる効果があります。
3.陰陵泉
足の内くるぶしから、スネの骨の内側を上へ辿っていくと、指が止まる部位があります。
その部位の指一本分後ろに取ります。
体内の余計な水分を取る効果があります。
最後に
如何でしたでしょうか。
下腹部にしこりがあると、「特に悪性のものではありません。」と言われても、気になるものですよね。
今回お伝えしたのは、あくまで参考程度の内容で、実際には色々な原因が絡み合って起こります。
もし、「手術をするほどではないけど、そのままにしておくのも気になる…。」とお悩みでしたら、是非お近くの鍼灸院さん・漢方薬局さんへご相談ください。