身近にいる人の、心をケアする方法
あなたは、職場の同僚や部下が落ち込んでそうな時、「なんとなく気になるけど、なんて声をかけていいか分からない…。」なんて思う事、ありませんか?
下手にアドバイスをしてしまって逆に相手を落ち込ませたり、変に気を使わせてしまうかも…なんて考えると、どんどん声をかけづらくなってしまいますよね。
ちょい古いデータですが、平成19年に厚労省が
職場におけるこころの健康づくり〜労働者の心の健康保持増進の為の指針〜
(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/101004-3.html)
を発表しました。
その中に、「4つのケア」ってのが出てきます。労働者のメンタルヘルスを4つの方向からケアしていきましょう。っていうもの。
その4つがこちら
1.セルフケア
2.ラインによるケア
3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
4.事業場外資源によるケア
1.は言葉のまま、ストレスを感じている本人自身が行うケア。まずは自分のストレスに気付いて、自分なりに対応していこうっていうもの。
2.は職場の上司や同僚なんかによるケア。一人一人が心地よく働ける環境を作る事から、専門家との橋渡し役を行ったりなどまで。まずは自分の部下や同僚のいつもと違う様子にいかに気付けるかがポイント。
3.は社内に常駐していたり、定期的に診察に来る産業医や保健スタッフによるケア。
4.は心療内科医やカウンセラーによるケア。実際に診断書なんかを書いたり、職場復帰支援プランなんかを考えたりするケア。
あなたにも出来る、職場の仲間を守るケア
この4つの中であなたにとってダントツで大切なのが、2.のラインによるケア。
メンタルヘルスって、本人からはなかなか言いづらいものだし、たまにしか顔を合わせない産業医なんかには、働いてる人の微妙な変化ってなかなか気付き辛いもの。
ストーカーとかいじめとかの問題とも同じで、周りの人間がどれだけ気付けるかがとっても重要。
それで、もしあなたの周りで、なんとなくいつもと様子が違うな?と感じる人がいたら、すぐに声をかけてあげてください。
話を聴くだけでも十分なので、まずは状況を把握するのが大切。精神科医が勧める10か条が、こちら。(「精神科医はどのように話を聴くのか」平凡社新書,藤本修,2010)
- まず「受け止める準備を」
- 感情面での指示・共感を示す
- 感情の受け入れと論理的な理解のバランスを
- 自分の役割をはっきりと意識する
- 聞かれた事に常に正しい回答をしなければならないと思わないように
- 専門家への紹介も考える
- 話し手に考えさせるように返すことが大切
- 話の”間”を上手にとる
- 時間の設定に配慮する
- 秘密を守る
正直、いきなりこんな全部は無理…って思いますよね?
聴く姿勢は大切だけど、全部を完璧にってなると、とっても難易度が高い…。
この中で1番大切なのは、7.話し手に考えさせるように返すことが大切 ってところかも。
相談を受けても、アドバイスは不要
正直、精神的に追い込まれてくると、人って他人の話を聞く余裕を持てません。言葉では分かっていても、受けたアドバイスを実践する余裕がなかなかないんですね。
あなたのアドバイスはきっと正しいと思います。でも、思っているような変化はでないかも。
「そんなのはどうせ正論で、でもどうせ自分じゃできない、、!」っていうのが相手が心のどこかで思っている事だからです。
心の奥底で、本人が出来ないと思っている事を、他人がさせるのは不可能です。
なので、自分で気づくまで辛抱強く待つ事が大切。
もしあなたの周りで、なんとなくいつもと様子が違うな?と感じる人がいても、身構える必要はありません。何か適切なアドバイスをしようなんて思わなくて大丈夫。
時間はかかるかもしれませんが、まずは話を聞いて、本人に考えさせる姿勢を作っていく事が大切です。