疲れているのに眠れないのなら

あなたは

「なかなか眠れないなと思って時計を見たら、

ふとんに入ってからもう1時間も経っていた」

なんて経験、ありませんか?

しかも、その日は仕事でくたくたで「もう疲れた…。」とベッドに倒れ込んで心底眠りたいと思っているのに、です。

疲れているのに眠れないって、何か重大な病気なのかな?って思いますよね。

今回は、「疲れているのに眠れない。」という方へ、中医学的に診た症状の捉え方とその改善方法をお伝えします。

疲れているのに眠れないってなんで?

疲れているのに眠れない原因は、一つではなくて色々と複雑に重なっている事が多いです。

睡眠を邪魔する原因として

 

  • いつもと寝る場所が違う
  • 呼吸が苦しい(睡眠時無呼吸症候群、喘息)
  • 多動(レストレスレッグス症候群)
  • 痛みが気になって眠れない(ヘルニアやリウマチなど)
  • 動悸や不安感が強くて眠れない
  • 病気の後遺症
  • コーヒーや栄養ドリンクなどのカフェインの摂り過ぎ
  • 自律神経の乱れによって起こるもの

などがあります。

眠りたくても眠れない場合には、持病や病気の後遺症などが原因で出現しているケースもあります。

長期間に及ぶ不眠症状があって、それらが精神的なものや自律神経失調のようなものではなく、身体的なものが原因で起きているのであれば、専門家にしっかり診てもらう必要があります。

また、口にする物や運動不足などの生活習慣によるものであれば、ご自身なりに出来るところから改善してみてもらえたらと思います。

例えば…

  1. 運動をする
  2. お風呂にしっかり浸かる
  3. 定期的にマッサージやヨガなどで心身を整える

などです。

自律神経の乱れによって起きている場合、薬ではなくセルフケアや東洋医学の考え方で心身共に整えていくと、長い目で見た時に健康的に睡眠の改善を行う事が出来ます。

 

中医学から診た考え方

では、「疲れているのに眠れない状態」を中医学から診ていくと、原因は…

 

交感神経が異常に昂ぶっている
眠る体力が残っていない

 

の2つが考えられます。

それぞれ、中医学の考え方に照らし合わせて解説をしていきます。

 

交感神経が異常に昂ぶっている(心肝火旺)

交感神経の昂りで眠れない場合、仕事で嫌な事があったり人から言われた事が頭から離れず、イライラして眠れない状態です。

この状態を中医学では「気が滞っている。」と見ます。

中医学の用語では「気滞」と言います。

気は食べ物や呼吸から身体に取り込まれて、滞りなく滑らかに巡る事で私たちが日々健康的に過ごせるようになっています。

この気の流れはストレスで阻害されてしまうと言われていて、気滞となります。

この気滞が熱化してのぼせの熱症状を伴うと、気鬱化火と言う状態へ移行します。

この火が「心」へ影響すると、カッカして眠れない状態になります。

身体は疲れているのに、「心」は煮えたぎっていますので、なかなか寝付ける事が出来ません。

この状態を「心肝火旺」と言います。

ストレスによって、肝が司る気の流れが阻害されますので、心と肝の両方が障害を受けた状態です。

 

「心肝火旺」の不眠の特徴

  • イライラして眠れない
  • 途中で目が覚めた時でも、その事が頭から離れない
  • 強めの動悸を伴う
  • 口に苦味を感じる

 

眠る体力が残っていない(心気虚・心血虚・心の気血両虚)

東洋医学では、「心」は気でコントロールされて血で栄養されていると考えています。

その為、身体の気血が不足して「心」をコントロールしたり栄養できなくなったりすると、「心」が落ち着かずに不安定となり不眠症状が出ると考えられています。

気血は食べ物や呼吸で作られていますので、きちんと栄養を摂っていなかったり、疲れてくるとこの気血は不足してしまいます。

疲れてくると気血が不足し、「心」をコントロール・栄養できなくなり眠れなくなる。

つまり、「疲れているのに眠れない」とは、「疲れ過ぎていて眠れない」状態とも言えます。

 

気だけが不足している状態を → 「心気虚」

血だけが不足しているの状態を → 「心血虚」

両方とも不足している状態を → 「心の気血両虚」

 

と言います。

 

「心」の気血が不足して起こる特徴

  • 疲れは溜まっているのに、寝付けない
  • 眠りが浅く、途中で目が覚めてしまう
  • 夢を多く見る
  • 弱めの動悸などがある

「疲れているのに眠れない」の改善方法

心肝火旺の場合

原因がストレスからきている為、趣味を満喫したり呼吸法や運動を取り入れて、滞っている気を流す事が大切です。
また、アロマオイルがお好きな方は柑橘系の香りは気を流す効能があると言われている為、おすすめです。

おすすめのツボ

1.神門

手首のシワの上にあり、小指側の手首の凹んだ所に取ります。

2.行間(顔や頭に熱感がある時)

足の親指と人差し指の付け根に取ります。

3.丘墟

足の外くるぶしの斜め下前部分に取ります。

 

心気虚・心血虚・心の気血両虚の場合

心の気血を養う為には、過度の精神刺激を避けて疲労を溜め込まない事と、気血を養う食べ物を積極的に摂る事が大切です。

気血を補うのにおすすめの食材
やまいも、とうもろこし、小麦、なつめ、かぼちゃ、きくらげ、サケ、ブリ、あさり、ホタテ、まぐろ、鶏肉、牛肉、卵、レバーなど

おすすめのツボ

1.神門

手首のシワの上にあり、小指側の手首の凹んだ所に取ります。

2.三陰交

脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。

気血を養う漢方

  • 酸棗仁湯
  • 十全大補湯
  • 人参養栄湯
  • 帰脾湯

など

まとめ

如何でしたでしょうか。

「疲れているのに眠れない」って、なんだか不思議な感じですが、中医学から診ると結構説明がつく状態です。

より良い改善には漢方や鍼灸などが有効ですが、まずはご自身で出来るところから始めてみてください。

あなたの不眠改善のお手伝いが出来たら嬉しいです。

 

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