発熱は多くの疾病に現れる為、臨床上最もようみられる症状の1つです。
体温を正確に測るのは難しいと言われていますが、
一般的な発熱の基準は、37.5℃以上のものを言います。
平均体温:36.5℃
微熱:~37.4℃
中程度の発熱:37.5℃〜38.4℃
高熱:38.5℃以上
中医学では、風邪などの感染症で現れる発熱以外にも、身体の中から生まれる発熱を診る事もあります。
これを、「内傷発熱」と言います。
このタイプの発熱は、ストレスや疲労などで起こる場合もあります。
今回は感染症以外で起こる発熱の説明をしていきます。
発熱の原因
ここでは、身体の中で生まれる熱を原因別に6つ紹介したいと思います。
- ストレス(肝火発熱)
- 血行障害(瘀血発熱)
- 水質代謝異常(湿鬱)
- 潤い不足(陰虚発熱)
- 疲労(気虚発熱)
- 貧血(血虚発熱)
の6つがあります。
発熱のタイプ
①ストレスタイプ(肝火発熱)
ストレスや鬱々とした状態により気の流れが滞り、長期化して熱化(気鬱化火)して発生した発熱です。
- ストレスにより悪化
- 全身に熱感があったり、胸がざわつく感じがある
- イライラしやすく、怒りっぽくなる
- 脇に張ったような痛みがある
- よくため息が出て、口に苦味を感じる
- 女性は、生理不順や生理前に痛みが出る
改善方法
精神刺激は避けて、軽めの運動や趣味などのストレス発散をしましょう。
アロマオイルや瞑想などでリラックスするのも大切です。
柑橘系や香菜の香りは気の滞りを取る働きがあります。お好きな香りを嗅ぐようにしてみてください。
おすすめのツボ
1.行間
足の親指と人差し指の付け根に取ります。
ストレスが原因で頭部上がった熱を取る効果があります。
2.合谷
親指と人差し指の骨が交わる所から、少し人差し指寄りの凹みに取ります。
ストレスを流す効果や、熱を取る効果があります。
3.曲池
肘の関節の外側にあり、肘を曲げた時に出来るシワの先端に取ります。
身体の熱を取る効果があります。
②血行障害タイプ(瘀血発熱)
冷えや疲労、ストレスなどによって、結の流れが滞り(瘀血)、長期化して熱化した状態です。
- 午後、または夜間に発熱する事が多い
- 身体の一定した部位に痛みやしこりがある事が多い
- サメ肌になりやすい
- クマが出来やすい
など
改善方法
軽めの運動やぬるめのお風呂に浸かるなどをして身体の血行を良くする事が大切です。
おすすめのツボ
1.間使
手首と肘の間にあり、掌側にあります。
手首のシワの真ん中から、指4本分の所に取ります。
どちらも、自分の指で気持ち良いと感じる程度の力で押してみてください。
2.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
血の流れを調整する働きがあります。
③水液代謝異常タイプ(湿熱)
暴飲暴食や脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものなど偏った食生活により代謝が乱れて体に余計な水分が溜まり、長期化して熱化した状態です
- 熱はそこまで高くないが、午後に激しくなる
- 暴飲暴食で悪化
- 胃腸の調子が良くない
- 身体が重だるい
- むくみが多い
など
軽めの運動をして代謝を促進させたり、食べ物に気をつけて胃腸に負担なく過ごしましょう。 改善方法
おすすめの食材:キャベツ、大根、たまねぎ、とうがん、白菜、きのこ類、あずき、納豆、しそ、昆布、海苔、烏龍茶、プーアル茶など
おすすめのツボ
1.足三里
膝のお皿の下から、指4本分下(人差し指〜小指)下の、スネの骨の外側に取ります。
胃の不調を改善させ、消化・吸収・代謝を促してくれるツボです。
2.陰陵泉
足の内くるぶしから、スネの骨の内側を上へ辿っていくと、指が止まる部位があります。
その部位の指一本分後ろに取ります。
体内の余計な水分を取る効果があります。
④潤い不足タイプ(陰虚)
慢性的な夜更かし、加齢や長引く病気など陰が不足し、陽を制御出来なくなり起こる発熱です。
- 午後や夜間に発熱する事が多い
- 手足の火照りがある
- 胸から上がのぼせる
- 身体の中が蒸されるような感覚がある
- 疲労で悪化する
など
規則正しい生活を心がけて、睡眠はしっかりとりましょう。 改善方法
出来るだけ12時前に寝るようにしましょう。
おすすめの食材:やまいも、れんこん、アスパラガス、黒豆、くるみ、バナナ、豚肉、手羽先、卵白
おすすめのツボ
1.復溜
太渓から指3本分(人差し指〜薬指)上に取ります。
身体の陰を補ってくれる効果があります。
2.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
⑤疲労による発熱タイプ(気虚発熱)
疲労により気の流れが滞り、長期化して熱化して生まれた発熱です。
- 微熱が多いが、高熱になる事もある
- 疲労後に悪化する
- 疲れやすかったり息切れが多く、食も細くなる
- 風邪をひきやすくなる
改善方法
疲労によって発熱している為、無理に運動をして巡りを良くしようとしても逆効果になってしまう場合があります。
お風呂に入ったりリラックスして安静にして過ごし、夜はなるべく早めに寝て疲れを取るようにしてみてください。
おすすめのツボ
1.中脘
お腹のみぞおちとおへそのちょうど真ん中に取ります。
胃の不調を改善してくれるツボです。
2.足三里
膝のお皿の下から、指4本分下(人差し指〜小指)下の、スネの骨の外側に取ります。
中脘と同じく、胃の不調を改善してくれるツボです。
⑥貧血タイプ(血虚発熱)
長引く病気や出血、生理後や産後などで血が不足し、長期化して熱化して生まれた発熱です。
- 発熱は弱く、午後に出る事が多い
- 寝汗をかく
- 手足の火照り感がある
- 精神的に不安定になりやすい
- 出血や生理、産後など血を失われた時に悪化する
など
改善方法
血を補う食材を食べて、夜はなるべく早めに寝るようにしてみてください。
また、無理な運動や目の酷使は血を消耗してしまいます。
控えるように意識してみてください。
「血」を補う代表的な食材:レバー、なつめ、プルーン、くるみ、アサリ、イカ、ホタテ、マグロなどの魚類、やまいも、にんじん、ほうれん草、小松菜などの野菜
おすすめのツボ
1.血海
膝の皿の上の内側から、指3本分(人差し指〜薬指)上がった所に取ります。
2.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
最後に
如何でしたでしょうか。
発熱は風邪などの感染症が多い印象ですが、身体の中から生まれるものもあります。
急に発熱したわけではなく、慢性的に熱がある
高熱ではなく、微熱っぽい
咳や寒気などはないが、熱だけがある
などの症状がある方は、是非参考になさってください。