自律神経とは
自律神経系は、内臓および血管平滑筋・心筋・腺を支配し、体温調整・循環・虚空・消化・分泌などの基本的な生命維持機能を調節している。
その働きは、無意識的・反射的であって、私たちが意識して制御出来るものではありません。
自律神経には主に2つあり、活動を司る「交感神経」と、休息を司る「副交感神経」の2つです。
交感神経・副交感神経の 代表的な働き
交感神経 | 副交感神経 | |
心臓 | 心拍数 ↑ 伝導速度 ↑ 収縮力 ↑ |
心拍数 ↓ 伝導速度 ↓ 収縮力 ↓ |
血管 | 縮む | 緩む |
気管支 | 緩む | 縮む |
胃腸 | 運動性 ↓ 胃液分泌 ↓ |
運動性 ↑ 胃液分泌 ↑ |
膵臓 | 消化酵素分泌 ↓ インシュリン分泌 ↓ |
消化酵素 ↑ インシュリン分泌 ↑ |
脂肪組織 | 脂肪分解 ↑ | なし |
皮膚 | 局所発汗 | 全身性発汗 |
唾液腺 | 粘液(ネバネバ)分泌 ↑ | 漿液(サラサラ)分泌 ↑ |
自律神経失調症とは
自律神経失調症は一つの症状を指すのではなく、めまい、動悸、胃酸過多、不眠、下痢・便秘、食欲不振など、交感神経と副交感神経の働きが乱れた事によって起こる不定愁訴の総称です。
検査などをしても特に異常がないのに、これらの症状が出てきた場合、「自律神経失調症」と診断されます。
中医学から診た自律神経失調症
中医学には「自律神経失調症」という診断名(弁証名)はなく、あくまでも、「お困りの症状」で診断名を決めます。
その症状が、
- 外から入ってきたか、体内から生まれたか
- 症状の経過
- 症状の強弱
- 痛みの質
- 寒熱
- 気血水精のどの病か
- どの臓腑が病んでるか
- どの経絡が病んでるか
- 付随する症状
- 寛解・悪化因子
などを診ながら、患者さんの状態を把握していきます。
例えば、下痢の場合の原因は…
外から入ってきた冷え(気温の低下、クーラーの当たり過ぎ)
冷たい物の食べ過ぎ飲み過ぎや暴飲暴食
ストレス
胃腸の疲れ
高齢化
などが考えられます。
これらは、自律神経を乱す原因にもなります。
こういった原因や寛解・悪化因子を、「症状が急に出たか、少しずつ強くなったか」「時間や場所による違いはあるか」「ストレスによる影響はあるか」などを詳しく伺う事で、把握していきます。
下痢は胃腸の不調で起こるものですが、原因を根本的に改善しないと、胃腸の治療だけではまたすぐに症状が出てしまいます。
その為、同じ症状でも、原因や寛解・悪化因子などは違う為、一人一人個別に診ていきます。
下痢のタイプ
ストレスタイプ
- お腹や腸が良く鳴る
- 痛みを伴った下痢が多い
- 緊張や精神刺激により症状が悪化する。
などの特徴があります。
胃腸の状態を整えるだけでなく、体に溜まったストレスを流す施術をします。 改善方法
日常生活でも、運動や呼吸法などで、ストレスを溜めない生活習慣をしてください。
柑橘系やラベンダーのアロマオイルなどはストレスを和らげる効果があります。
胃腸虚弱タイプ
- いつも軟便気味
- 食べたものが消化されずに出てくる事がある
- 生のものや冷たいもの、油っこいものなど、消化の悪いものを食べると症状が悪化する。
などの特徴があります。
改善方法鍼によるツボ刺激だけでなく、灸などで体全体の気力を高めていきます。
日常生活では、食べ物の内容に気をつけて、良く噛んで胃に負担のない食生活を試みてください。
加齢による冷えタイプ
- 症状は真夜中に出る事が多い。
- 生のものや冷たいものを食べると悪化する。
- 冷え性のため、寒冷地などで身体が冷えると症状悪化する。
などの特徴があります。
胃腸の状態を整えるだけでなく、加齢によって低下した身体の機能を高めていきます。
日常生活では、体を冷やさない事と、夜はなるべく早めに布団に入り、0時前には必ず寝るようにしてみてください。 改善方法
食べ物は、黒豆や黒米などの黒いものを中心に、くるみ、松の実、銀杏、牡蠣、ラム肉、牛肉、鶏肉、こんぶなどをバランス良く取るようにしてみてください。食べ物は、黒豆や黒米などの黒いものを中心に、くるみ、松の実、銀杏、牡蠣、ラム肉、牛肉、鶏肉、こんぶなどをバランス良く取るようにしてみてください。