薬の「常用量依存」って?
こんにちは。
そらのいろ鍼灸院の正木です。
今回は、薬の「常用量依存」についてお話したいと思います。
常用量依存とは
あなたは、「常用量依存」という言葉、聞いた事はありますか?
常用量依存とは、
抗不安薬や睡眠薬を、医師の処方通りに飲んでいるにも関わらず、薬を飲む前よりも症状が強く出てしまったり、薬を減らそうとすると元々はなかった症状(離脱症状)が出る事
を言います。
心療内科で処方される睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬のほとんどはベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系・チエノジアゼピン・SSRIと分類されているものですが、どれも常用量依存の可能性はあります。
常用量依存は、服用期間が長ければ長いほど陥る可能性が高まりますが、4~6週間の服用でも生じたという報告もあります。
ただ、ベンゾ系の薬は
- 4週間以上の服薬では効果があまりみられなくなる
- 3ヶ月以上の服薬で離脱症状のリスクが生じ始める
- 8ヶ月以上の服薬で離脱症状のリスクはかなり高まる
と言われています。
離脱症状の主なものは不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作などがあります。
日本では薬が簡単に出される
心療内科に行くと、必ずと言っていいほど薬が出されますよね。
その時に医師から副作用や離脱症状について説明される事はほとんどありませんし、飲んで調子が良い事を伝えると、そのままずっと薬が出され続ける事も稀ではありません。
効果の出る期間がある程度限定されていたり、強めの副作用や離脱症状があるのにも関わらず、こんなに頻繁に出される理由の一つとして、規制の問題があります。
睡眠薬や抗不安薬の規制が進んでいる欧米諸国に対して、日本ではまだ規制が進んでいません。
その為、多くの睡眠薬や抗不安薬が日本に入って来ていて、漫然と処方されている現状を後押ししているとも言われています。
日本の問題点として
- 欧米各国の6〜20倍の処方件数が続いている
- 薬の長期服用に対する抵抗が少ない
- 常用量依存に対する医師の知識と理解が不十分
- やめようと思った時には既に依存が形成されていて、中々やめられない
といった課題と問題があります。
- イギリス:短期間(最長4週間)の処方のみに制限
- フランス:不眠薬としては4週間、抗不安薬としては12週間の処方に限定
- カナダ:1〜2週間の処方を推奨
- デンマーク:不眠薬としては1〜2週間、抗不安には4週間の処方を推奨
- オランダ:最大でも2ヶ月の処方に留める
常用量依存でも、すぐにやめてはいけない
常用量依存は、少しずつその問題が知られてきています。
かと言って、
「今すぐにやめないと。」
と、急にやめてしまうと、離脱症状に苦しむ可能性が出て来ます。
薬を減らすには、1度に飲む量を少しずつ減らしていく方法(漸減法)、飲む頻度を減らしていく方法(隔日法)、他の薬を代替的に使用する方法(置換法)を使って少しずつ減らしていく必要があります。
漸減法・隔日法・置換法についてはこちら
「薬をやめるにあたって」
まとめ
服薬は、合う人には本当に効果があるし、薬に助けられたという方もいらっしゃいます。
色々な方のお話を伺って僕が思うのは、
薬は、「症状」には効果があるかもしれないが、「身体」には合わない
という事です。
薬を飲むと確かに症状は和らぐかもしれませんが、その反面気分が悪くなったり今まで全く気にならなかった症状が出てきたりします。
医師からは
「元の症状を取るか、副作用を気にして薬をやめるか」
「飲み続けて慣れれば、そのうち落ち着く」
などと言われる場合もあります。
難しいところですが、医師の言う通り薬を飲んでいても、依存や離脱症状は出るのが事実である事は、心に留めておいてください。
そして、もしあなたが薬を何年にも渡って飲み続けている場合、今まで飲み続けて来た事を強く後悔するかもしれませんが、
大切なのは「これからどうするか?」です。
ゆっくり焦らず、「減薬時の離脱症状はあって当たり前」くらいの気持ちで減薬に臨むと、精神的には楽かもしれません。
お手伝い出来る事があれば、いつでもご連絡ください。
お大事になさってください。