睡眠薬の依存性が怖いなら、メラトニンの効果を高めるロゼレム
あなたは、
「睡眠薬を飲もうか悩んでるけど、依存性が怖い」
と思っていませんか?
そこで今回は、
- 「薬は怖い。」
- 「一度飲むとやめられないんじゃないか…。」
- 「色々な副作用が心配…。」
と不安に思われているあなたへ、依存性の少ないロゼレムというお薬を紹介します。
目次
ロゼレムって?
まずは、ロゼレムの説明から。
商品名:ロゼレム®️錠8mg 製造販売元:武田薬品工業株式会社 承認年月日:2010年4月16日 販売開始年月:2010年7月 用法:1日1錠を就寝前に 効果持続時間:約1時間 半減期:約2時間 投与期間の目処:約2週間 効能または効果:不眠症における入眠困難の改善 薬効薬理:ラメルテオンはメラトニン受容体アゴニスト(作動薬)であり、概日リズムを司る視交叉上核にあるメラトニン受容体(M1、M2)に選択的に結合し、薬理作用を発揮する 名前の由来:「健やかな眠りを取り戻し、ばら色の夢をみましょう。」という願いから、Rose(バラ)・REMと名付けられた。
ロゼレムの特長
他の睡眠薬や抗不安薬と違い、メラトニンの働きである「睡眠ー覚醒リズムの調整」に働きかける事で自然な眠りを促します。
メラトニン受容体のある視交叉上核とは体内リズムを司っている部分で、視交叉上核に入ってくる光の量で、活動と睡眠のリズムを作っていると言われています。
メラトニン受容体とは?
メラトニン受容体は、脳の視交叉上核と呼ばれる場所にあり、傾眠作用や睡眠リズムを調整する作用があると言われていて、ヒトにはM1とM2の2種類があります。
それぞれの受容体の特徴は…
- M1:刺激を受けると、神経の興奮を抑制したり、体温を低下させる
- M2:刺激を受けると、体内時計を同調したり、概日リズムの位相を変動させる。
(遅れがちの睡眠リズムを前倒しにさせる)
です。
この2つの受容体を刺激する事で、
「身体を眠りにつきやすい状態にさせて、自然に近い眠りを取る事が出来る。」
というのがラメルテオンの特長です。
ラメルテオンはこの2つの受容体にのみ選択的に作用する為、ベンゾ系や非ベンゾ系のような副作用や離脱症状が起こらないというのも、大きな特長の一つです。
実際の効果は?
では、実際の効果ですが、
ロゼレムの場合、臨床試験で「ベッドに入ってから寝付くまでの時間(入眠潜時)」と「全体的な睡眠時間」にどれだけ変化があったかが効果の焦点です。
製薬会社が出している添付文書には、プラセボ(偽薬)と比較した対照試験の結果では、プラセボ群に比べて、ロゼレムを飲んだ人の方が「寝付くのが早くなり、全体的な睡眠時間が増えた。」と結論づけています。
ただし、効果に懐疑的な見方をしている科学誌もあり、イギリスの科学誌「ネイチャー」やアメリカの「セル」などは、ロゼレムの効果に批判的な記事を載せていて、体に強力な作用を起こさせない分、効果もそこまで強くないというのが、一般的な見方のようです。
副作用
前述のように、作用する部位がかなり限定的の為、大きな副作用はないものの、臨床試験では
- 傾眠(3.4%)
- 頭痛(1.0%)
- 倦怠感(0.5%)
- 浮動性めまい(0.5%)
などの副作用が10.4%の対象者にみられたと報告されています。
また、24週に渡る長期間の試験では、11.6%の人に
- γ-GTPの上昇
- 肝機能障害
- 傾眠
の副作用が出たと報告があります。
他にも、重大な副作用としてアナフィラキシー様症状(蕁麻疹、血管浮腫)も見つかっています。
体温を調整する作用があるという事は、循環器系への作用がみられるという事の為、頭痛や眠気、倦怠感・めまいなどの症状が出ると言われています。
また、薬は肝臓で代謝される為、長期で服用したら肝臓に負担がかかるのは当然かもしれません。
使用上の注意点
ロゼレムは、副作用以外にも服薬するのに注意が必要な方や、併用禁忌の薬があります。
服薬を注意しなくてはいけない方
①肝臓疾患を持っている方
肝機能が低下している方の場合、薬の作用が強く現れすぎてしまう可能性がある為、慎重な投与が必要です。
②高齢者
高齢者も代謝機能の低下により、作用が強く出過ぎてしまう可能性がある為、慎重投与が必要です。
③妊娠されている方
妊娠されている方について、添付文書には
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること」
と記載があります。
この根拠は、あくまで動物実験ですが、横隔膜ヘルニアや骨格奇形などが認められたという報告があります。ただし、これは150ml/kg/日以上 とかなりの量を飲んだ時の為、そこまで気にしなくては良いかもしれません。
また、
「授乳中の婦人に投与すること避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること」
ともあり、その根拠はラットでは成分が乳汁へ移行しているのが確認されている為です。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が定めている薬剤胎児危険度基準では、「危険性を否定する事ができない」という分類であり、ロゼレムがないと眠れないという場合を除き、服用は避けた方が良さそうです。
④高度の睡眠時無呼吸症候群がある方、脳に器質的な障害がある方
これは、この方達への使用経験がなく、安全性が確立していない為です。
併用禁忌の薬
- フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)と呼ばれるSSRI
- ニューキノロン系の抗生物質
- フルコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬
- マクロライド系抗菌薬
- ケトコナゾール等のアゾール系抗真菌薬
- リファンピシン等の抗結核治療薬
これらの薬と併用すると、代謝を阻害もしくは促進させてしまい、作用のコントロールが難しくなってしまう為、禁忌とされています。
そして、何より身近で禁忌なのは、
アルコール
です。
アルコールも薬との相加作用が認められている為、禁忌です。
「寝つきが良くなるから」「お酒を飲むのが好きだから」「気晴らしに」とやめられない人がいますが、治療をしたいのであれば必ずやめましょう。
アルコールは、薬を飲んでいる飲んでいないに関わらず、不眠に悩まれているのであれば必ず控えなくてはいけません。
まとめ
如何だったでしょうか。
このロゼレム、効果は人それぞれだとは思いますが、副作用や離脱症状がない代わりに、効果も小さそうだなというのが、実際に服薬されてる方のご様子を見た感想です。
この薬だけで入眠困難を改善するというよりは、メラトニンを増やす生活習慣と並行して服用する薬と考えた方が良さそうです。
ただ、自然な眠りを促す効果や、副作用が少ないというのはかなり大きな特長だと思うので、気になった方は投与期間の目処の2週間に限って処方してもらうのは良いのかもしれません。
PS.
入眠困難は薬の離脱症状や反跳性不眠、夜勤や極度の夜更かしなどを除くと、何かしらのストレス(交感神経の過活動)が関わっている事が多いです。
その場合、メラトニンの作用だけでなく、ストレスマネジメントのスキルも身につけると良い一層効果的です。
運動やヨガ・マッサージなど、ご自身に合う方法で、交感神経を鎮める手段を見つけてみてください。