薬の離脱症状は、いつ頃から始まるのか?
あなたは、今お薬を飲んで睡眠を取っていらっしゃいますか?
そんな時に、
「この薬、どれくらいの期間飲み続ければ良いの?」
「やめると禁断症状が出るって聞くけど、一回飲んでもなるの?」
って思う事ってありますよね。
あなたが医師から薬を処方される際、飲み方の注意点や飲む期間、服薬後に症状が落ち着いたら、どのように薬を減らしていくかなどの説明を詳しく聞かされているのであれば、特に問題はありません。
でも、中にはあまり説明をせずに処方だけする医師もいます。
今回は薬(主にベンゾジアゼピン系睡眠薬)をどれくらいの期間飲み続けると離脱症状が出現するのかを、あくまで一般論ですがお伝えしたいと思います。
薬の離脱症状って?
まず知っておいてもらいたいのが、薬をやめる時に出てくる「離脱症状」とはどういったものか、です。
「禁断症状」や「退薬症候」などとも言われています。
離脱症状には本当に様々なものがありますが、主にめまい、耳鳴り、動悸、不眠、不安感、イライラ、落ち着かないなどがあります。
基本的には「薬をやめた後に出てきた症状全て」と言っても良いと思います。
よく、
「薬をやめると体調が悪くなったから、まだ薬をやめる時期じゃないんだ…。」
と仰る方もいますが、その原因のほとんどは薬をやめた事による離脱症状が原因である可能性が高いです。
主治医に確認しても、「まだ体調が良くなっていないから。」と薬を再度処方されたり、別の薬を処方されたりもします。
この離脱症状の怖いところは、
医師でもその症状が体調不良によるものなのか、離脱によるものなのかが明確にはわからない。
というところです。
処方している本人も、コントロールが非常に難しいものです。
離脱症状が出始める時期
そして、この離脱症状は、医師に言われた処方量、医師に言われた期間飲んでいても、出現します。
これを常用量依存や臨床用量依存と呼んでいます。
医師に言われた通りに飲んでいても、身体に不都合な症状というものは出現します。
そして、この離脱症状はどのくらい飲むと出現するのかというと、
現在主流のベンゾジアゼピン系睡眠薬の場合、服薬期間が3ヶ月以上になってくると徐々に出現し始めて、8ヶ月を超えるとその危険性が高くなると言われています。
その為、漫然と飲む事は避け、出来る限り短期間の使用にとどめる事を、飲み始めから意識しておく必要があります。
短期間とはどれくらいかと言うと、海外では、大体4週間以内の処方に制限されている事が多い為、その位の期間を意識していれば問題ないのかと思います。
- カナダ…不安には4週間、不眠には14日以内の処方
- オーストラリア…4週間以上の長期投与は非一般的と考えられている
- イギリス…2〜4週間の処方に限定
おそらくこれは、「薬の効果はあくまで一時的なものであって、長期間飲み続けても、効果が持続するという科学的根拠がない。」というものが背景にあるのだと思います。
イギリスの英国医薬品安全委員会および英国精神医学会は「ベンゾジアゼピンは長期服用に不適当であり、一般に2〜4週間に限ってのみ処方されるべきである。」と結論づけています。
ただ、症状が中々良くならなかったり、医師の処方された通りに飲んでいたりして、既に服薬が長期間に渡っている場合もあります。
その時は適切な減量法を用いる事で、離脱症状を最低限に抑えながら、少しずつ減薬していく事をおすすめします。
離脱症状は出るものと捉えて減薬をする
当院にも、減薬を試みている方が多くいらっしゃいますが、離脱症状がほとんど出ない場合もあれば、強く出る方もいて、本当に人それぞれです。
ただし、薬を減らしていくに当たっては、「多かれ少なかれ離脱症状は出るもの」と思って、心構えが必要なのではと思います。
「薬を減らしたら、また眠れなくなった。」
「薬を減らしたら、また体調が悪くなってしまった。」
と、服薬を再開される方もいます。
本人がお辛いのであれば、それは悪い事ではないと思います。
ですが、本当に薬をやめようと思ったら、「この症状が出るのは薬を減らしているんだから当たり前。」という気持ちで臨む事も大切です。
今回は、薬の離脱症状が出現し始める期間についてお話をさせていただきました。
あなたの辛さを軽くさせる手助けに、少しでもなれたらと思います。