睡眠薬の常用量依存って??
このブログを読んでいるあなたは、既に心療内科などで睡眠薬や抗不安薬を処方されて、薬を飲みながら治療を行なっている方かもしれません。
あなたは、医師の処方通りに薬を飲んでいても依存性を生じてしまったり、減薬時に症状が再燃したり(元の症状より強く出る事もある)、様々な離脱症状が出る事を、ご存知ですか?
こういった状態を、常用量依存と呼びます。
特にベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系・SSRIの常用量依存についてお話したいと思います。
この常用量依存は、長期に服用した場合に多いと言われてはいますが、4〜6週間の短期服用でも15〜30%の方に生じたという報告もあります。
服薬は、合う人には本当に効果があるし、薬に助けられたという方も多いと思います。
ただ、個人差はありますが、4週間以上の服薬はあまり効果が見られなくなりますし、3ヶ月飲むと離脱症状のリスクが生じて来て、8ヶ月以上でそのリスクはかなり高まると言われています。
離脱症状の主なものは不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作などがあります。
日本以外では規制が進んでいる
- イギリス:短期間(最長4週間)の処方のみに制限
- フランス:不眠薬としては4週間、抗不安薬としては12週間の処方に限定
- カナダ:1〜2週間の処方を推奨
- デンマーク:不眠薬としては1〜2週間、抗不安には4週間の処方を推奨
- オランダ:最大でも2ヶ月の処方に留める
と、日本以外の欧米諸国では規制が進んでいます。
その為、多くの睡眠薬や抗不安薬が規制の緩い日本に入って来ていて、漫然と処方されている現状を後押ししているとも言われています。
日本の現状として
- 欧米各国の6〜20倍の処方件数が続いている
- 薬の長期服用に対する抵抗が少ない
- 常用量依存に対する医師の知識と理解が不十分
- やめようと思った時には既に依存が形成されていて、中々やめられない
といった課題と問題があります。
服薬を生理的に拒む方もいらっしゃいますが、個人的には、本当に辛くてどうしようもない時は、一時的に頼るのは決して悪いことではないと思います。
ただ、知っておいていかなければいけない事として、
- 短期的な服用(最長で4週間以内)のみに有効
- 目的は治療ではなく、症状を抑える事
- 処方された通りに飲むと、常用量依存になる
があります。
翌日に大切な会議やイベントがある場合、眠れずに行く事は精神的にも肉体的にも辛いものがあります。
「どうして眠れなくなったのか?」
の原因を自分で考えて対処していきながら(この場合、効果が出るのは非常にゆっくりだから焦らずに行う)、どうしても眠れない時だけ薬を利用するというスタンスでいけたらと思います。
常用量依存でも、すぐにやめてはいけない
常用量依存は、少しずつその問題性が知られてきています。
薬について色々と知っていくと、
「今すぐにやめないと。」
と思い、急に薬を飲みたくなくなってしまうかもしれませんが、ここで急にやめると、離脱症状に苦しむ可能性が出て来ます。
もしあなたが、薬を何年にも渡って飲み続けている場合、今まで飲み続けて来た事に強く後悔をするかもしれませんが、
大切なのは「これからどうするか?」です。
薬を減らすには、1度に飲む量を少しずつ減らしていく方法(漸減法)、飲む頻度を減らしていく方法(隔日法)、他の薬を代替的に使用する方法(置換法)を使って少しずつ減らしていく必要があります。
そして、薬を減らすには心の準備が何よりも大切です。
今すぐに薬をやめられなくても、ご自身の気持ちが整ってから、ゆっくりと減らしていく試みを行っていってください。