嫌な思い出がフラッシュバックしてきたら…

あなたには、電車の中や仕事をしている時、街中を何気なく歩いている時なんかに、急に動悸や呼吸が苦しくなったりした事はありませんか?

中には友人と楽しく食事をしている時にそういった症状に襲われた…なんて方もいるかもしれませんね。

当院にも、そういった症状に悩まれている方が多くいて、対処法を尋ねられる事があります。

 

「思い出そうとしなくても、ふとした時にその時の嫌な思い出がパッとフラッシュバックしてきて、それをきっかけに嫌な気分になっていってしまう…。」

「一度頭をよぎってしまうと、どれだけ押さえつけようとしても、どんどん膨らんでくる。」

普段は体調に不安のない方でも、その思い出がきっかけで「胸のソワソワ」「胃の不快感」「めまいやふらつき」などの症状が出現する事もあります。

「いっそ、その記憶だけでも消せれば、こんな症状に悩まされる事もないのに…」と頭を抱えている方もいらっしゃいます。

これはとても難しい問題ですが、どれだけその思い出をなくそうと訓練しても、脳の記憶を部分的に消すという事は出来ません。これは、自分にとって脅威となる出来事を再度繰り返さない為に脳が引き起こしている生体防御反応だからです。

この反応が、少し過剰に出たり誤作動を起こしたりしてしまっているんですね。

 

普段は比較的楽しく過ごせているのに、嫌な思い出がフラッシュバックされると症状が出る…。

 

というお悩みの方におすすめしたいエクササイズが、

 

「嫌」という感情と、「思い出」という出来事を切り離して考えてみる
これは、起きた出来事と感情(解釈)を分けて考えようという考え方。禅やマインドフルネスなどでも良く言われているものです。過去に傷ついた思い出なんかがあると、どうしてもそれを引きずってしまって、思い出すたびに嫌な気持ちになりますよね。
でも、仕事の失敗や失恋など嫌な思い出も、「あの時、あの経験をしていて良かった。」と思える事もあります。

出来事に対して毎回感情を挟まないという訓練をしていくと、自然と身体の反応も和らいでいきます。

これは職場や過程などの日常的な場面でも使う事が出来ます。

思い出さずにいる事は無理なので、何か別の事に意識を集中させる
 
これは、一流のスポーツ選手などが行なっている「ルーティーン」と呼ばれているものに似ています。競技の前、「失敗したらどうしよう…?」と過去の失敗が頭をよぎってしまってうまく集中出来ないなんて事がないように、自分の中でいいイメージを作って、それを身体の動きに連動させます。

電車に乗ったら呼吸に集中したり、音楽に集中したりスマホでニュースを読んだり…みたいなシンプルな事で良いと思います。自分に合ったルーティーンを探してみるのも良いかもしれません。

 

症状が出ても、これは脳の誤作動(思い込み)と言い聞かせて、無理に抵抗しない
基本的には、何も脅威のないところで出てくる動悸や息苦しさや胃の不快感は精神的なものが原因で起きている事がほとんどなので、「思い込みで起きている」と言っても良いかもしれません。症状が実際に出ている事に変わりはないので、辛い事に変わりはないのですが。こんな時に、「出るな出るな!」と上から押さえつけようとすればするほど、症状は強くなっていきます。

そんな時は、症状に捉われる事なく、「これは思い込み。この状況が過ぎればなくなる…。」と思えれば、少しずつ楽になっていくかもしれません。

 

不快な症状が出る自分を、嫌いにならない
これが一番難しいかもしれませんが、こういった症状が出てくると、自分を嫌いになったり自信をなくしたりする事もあるかと思いますが、実はこの「自分を嫌いになる」「自信をなくす」というのが一番良くない状態です。「私、おかしくなったのかな…。」「病んだ人と思われたらやだな…。」と、自分の身体に起きている事に拒否反応を起こす事もあると思います。

ですが、どんな自分であれ受け入れ、認めてあげるというのが一番大切な姿勢のような気がします。専門用語でセルフコンパッションと言います。

「自分は自分だから、こういう部分もあるよな。」と思えたら、気分から変わってくると思います。

余談ですが、昨日テレビを見ていたら「世界で一番ヒップが大きい女性」の方が出ていました。アメリカ人の方で、その方のヒップはなんと246センチなんだそうです。一見したら、とても困る身体的特徴のように思えますが、この方は、「私は太ってないし、このお尻をとてもセクシーだと思っているから、ダイエットなんて絶対しない。」と笑顔で答えていました。自分自身を誇りに思っているんですね。数センチ脚が太くなった事を気にしている方よりも、何倍も幸せなんだろうなと思いました。

 

これは、かなり個人的な見解なのですが、学校でも職場でも、ある集団の中にいるはみ出し者やトラブルメーカーを「敵」と見なして無理やり排除したり矯正したりしようとすると、その対象の行いはどんどんエスカレートしていくように感じます。

「人と違う事を受け入れる」という考え方は、社会にも自分自身にも言える事だと思います。

今回のブログはかなり長くなってしまいました…。最後までお読みいただきありがとうございました。
今回紹介した4つのエクササイズ、なんとなくピンとくるものがあったら、是非試して見てください。

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